墨田区3M運動マイスター候補者の認定のため調査見学に行ってきました。
今回は2名。墨田区唯一の有職畳を作れる畳職人、そしてつまみ細工の技法を用いて作る花かんざしの職人です。
最初は畳職人、小宮畳店の加藤さん。
仕事場に入った途端、イグサの清々しい香りがして何とも癒されました!
一般的な畳職人でもあり、有職畳と呼ばれる宮中の祭祀や儀式で使用される特殊な畳を製作する技術を持つ職人でもあります。
有職畳は平安時代に生まれた「有職故実」という学問に基づいた伝統工法で、一般的な畳とは構造や材料、製作方法が異なり全て手作業で仕上げられます。
気になったのは、納品した有職畳が宮中などで使われていて、使うところを見たことがないということ。
実物を見せて頂きましたが、お内裏様とお雛様(雛人形)が座っている高さのある畳のことだとわかりました!成程、宮中の儀式、それは見る機会がなかなかないですよね。
また、一般的な畳にしても、イグサ農家がどんどん減っていて畳を作ることがとても大変になっているそうです。
産地は熊本県がほとんどで、福岡、佐賀、広島、石川などでほんの少しの農家があるだけのようです。イグサ農家の跡継ぎが、国の補助が出る野菜にシフトしているとのこと。もちろん、使う人が減っている畳ではありますが、どうして日本は自国の誇れる伝統工芸を守るシステムが作れないのでしょうか?様々な技術が連動して消えつつあるものが多すぎます。
知らなかった豆知識としては、この縦糸に入れられた色が熊本産のイグサの織りの証明だそうです。糸を見れば産地がわかるということです。
畳は香りに心の静寂を得られる、一歩足を踏み入れて感じる独特な感触、そして整った織りの目の美しさ。日本人の美意識が凝縮しています。絶やさないで欲しい畳文化です。
次が花かんざしの職人、宮さん。
つまみ細工の技法(正方形に裁断した絹の薄生地をピンセットを用い折紙のように折り、その一片一片を組み合わせて台座に糊で貼り、花や鶴などのめでたいモチーフを形造る江戸時代より伝わる技法)を用いてかんざしを作り上げる花かんざしの職人です。
工房では絹の生地が小さな正方形に裁断され染められていました。これを畳んで並べていくのか!と繊細な作業に驚きました。土台に接着する糊も米粉を主原料に手作りしているそうです。
完成した花かんざしは、舞妓さんや七五三で見覚えのある飾り。この技法を残していこうという宮さんの熱い想いが感じられた見学となりました。
おふたりとも確かな技術を持ち、マイスター認定になります。ご活躍を楽しみにしています。
余談になりますが、今回の見学を終え、Netflixの「舞妓さんちのまかないさん」を観ました。
さすが総合演出、是枝監督。カットが綺麗〜
舞妓さんが挿しているのが、正に花かんざし。無くてはならないものですね。画像のかんざしの技法はつまみ細工ではないですが、ドラマの中の舞妓さんのかんざしにこのつまみ細工のものもありました。
そして舞台の屋形の味のあること。畳、無くてはならないものです。
京都の文化はピリッとシャレが効いていて機知に富んでいて好きです。お正月の飾りの意味や屋根に乗せるお幅さんなどなど。京都が舞台の映像はやはり細部に見入ってしまいます。
深川育ちの江戸っ子の私はストレート過ぎるところがありますが、京都は違います。
何よりもこの「舞妓さんちのまかないさん」を繰り返し観てしまうのは、お料理!特にイントロに流れる白米のおにぎりと塩じゃけの香ばしく焼ける姿。
も〜何回観ても美味しそうで美味しそうでたまりません!
是非、「舞妓さんちのまかないさん」ご覧になってみてください。
映像が美しい、シナリオは癒されますし、花かんざしも畳も活かされている。
それに、必ずお腹も空くこと間違いなし。(笑)
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補足1:墨田区の3M運動とは、墨田区の産業の活性化を測る事業。「小さな博物館」(Museum)・工房と店舗の機能を備えた、製造と販売が一体化した「工房ショップ」(Manufacturing shop)・付加価値の高い製品を創る技術者である「マイスター(Meister)の3つの頭文字をとって「3M(スリーエム)運動です。イタリアの工房都市を思い出してください。作れる職人たちが、自立してその技術を世界に広めるチャンスにするための運動です。都市計画ともいえます。
補足2:舞妓さんちのまかないさんinstagram画像引用